●北海道観光マスターって、いったい何のための資格でしょう?●

2006年11月23日に第1回北海道観光マスター検定が行われ、
かくいう私も受験して来ました。試験には無事合格しましたが、
その試験内容には失望せざるを得ませんでした。がっかりです。

私が、この北海道観光マスター検定を受けようと思ったのは、
こうした温泉情報を流していることが個人的な趣味とはいえ、
北海道観光のある一端に関わっていることには違いなく、
視点をより地域に根ざしておきたい、と強く思ったからです。

これに加えて、公式テキスト「北海道観光マスター検定」の序文に、
北海道観光マスターとは、北海道を訪れる観光客を温かく親切にもてなす心、
歓待の精神を有した人です。
」(公式テキストから引用)
と明記され、その言葉に強く惹かれたからです。

それでは、その第1回北海道観光マスター検定の試験問題とは
どのような内容だったのでしょうか。以下はその一部です。
なお、回答は全て用意された選択肢から選ぶものです。
Q1 北海道の花は?
Q2 支笏湖の周囲の長さは?
Q3 韓国の首都は?
Q4 オーストラリアで9月から始まる季節は?
Q5 「おもてなし」の意味の英語は?
どうですか?受験者を馬鹿にしていると思いませんか?

もちろん、難しい問題もありました。全部回答できたわけではありません。
(私は、山田洋次監督の映画のロケ地の問題は分かりませんでした)
(ちなみに、自己採点では47問正解/全50問=94点です)
前述の北海道観光マスターに受験者がふさわしいかどうかを
いったいどこで見極めるというのでしょう?


私はこの検定試験の問題点を次の3つにあると思います。
@ 安易な一般常識の範疇の設問が多々見られること
A 設問内容がいわゆる知識試験に偏っていること
B 受験者の「ホスピタリティ」の能力を問う設問が全くないこと
前述のQ1、Q3〜Q5は一般常識でしょう。Q2は単なる知識問題です。

ここで、私からの提案です。
北海道観光マスターの検定試験には、たとえば次のような
設問を通じて、受験者の資質を問うべきではないかと思うのです。

例題1 Aさん夫婦は70歳を超えた老夫婦で、パッケージツアー旅行ですが、北海道には2〜3度来られています。今回は夫婦二人だけの個人旅行で、4月に1週間かけて道内を巡りたいと考えています。なお、Aさんは歴史に興味を持っており、奥さんは北海道の魚介類が大好きです。
このようなAさん夫婦の旅行をアドバイスしてください。
例題2 仕事が忙しいBさんは、なんとか5日間の夏休みをとることができ、初めての北海道旅行に家族(奥さん、男の子2人)で出かける予定です。Bさんの子供たちは動物や乗り物が大好きで、アウトドア派のBさん夫婦はキャンプにも良く出かけます。
今回、レンタカーで道内を旅行したいと思っているBさんの旅行プランを考えてみてください。

どうですか?Aさん夫婦には函館や小樽の歴史的建造物だけでなく、
湯の川温泉でゆったりとくつろいでもらうとか、Bさん家族にはラフティングや
道東や知床のキャンプ場や体験牧場、野趣あふれる露天風呂などを
プランニングするだけでなく、普段仕事で疲れているBさんにも負担なく
リフレッシュできる旅行プランを発想することも必要です。
観光ガイドブックに記された見どころや地理知識ではなく、
いたわりの心を持った道内旅行のアドバイスができるかどうかです。
そうした心を持つ人が「北海道観光マスター」なのではないでしょうか?

北海道観光マスターに求められるのは「知識」ではない、「心」ではないか。

私は、そんなふうに思っている次第なのです。


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